生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
どこへ向かえばいいか分からない人へ
初心 初心に戻ってみないか 僕らの始まりに 生まれたての僕らに 何が見えていたろう 何を見ていただろう 僕らの初心
イメージを楽しめる人へ どこへ向かえばいいか分からない人へ
冬眠する人 もしも目が覚めずに 何十年も眠ったままで ようやく目覚めた時には 誰一人知ってる者はなく 言葉もまるで違っていて 目の色や皮膚の色や 空の色までもが変わっていて むせ返るほどの暑さの中 震えながら生きるのと 眠らずに今を生きるのと 好きな...
水の人間 水は動かぬものであり 動かぬようになろうとし 激しい流れというものも いずれは動かぬためであり この揺るぎのない力は 他からの力を必要とせず むしろ他へ染み込んでいって 時に冷たく時に優しく ただし乾くことを恐れ 下へ下へ向かってしまって 大樹の下や草蔭などを 探...
このまま真っ直ぐ歩いてゆけば このまま真っ直ぐ歩いてゆけば 海へ辿り着ける 途中には山があるかもしれない 途中には民家があるかもしれない 途中には水田があるかもしれない 途中には廃学校があるかもしれない 途中には思い出の町があるかもしれない 途中には大きな運河があるかもしれ...
止まったエスカレーター 足をかけても 両足をのせても いつまでたっても 目の高さは同じ 僕を上の方へは 連れていってくれない 止まったままの エスカレーター はじめからあてになど しなければ良かった 上の方を見ると 多くの多くの人が じっとまたはおろおろ 何かを待っている 僕はエ...
地中の羽ばたき まるでミミズのように 地の中を這っている カブトムシの子でもない ニイニイゼミの子でもない アゲハチョウの子にもなれない まして蛹になどなれもしない やがて空へ飛び立つそれらを こうして地の中で見送るのだ 羨んでいるわけではない ミミズはミミズなのだから ただ出来...
人ひとり 人ひとり見なければダメなんです だけど人ひとりだけ見てはダメなんです 人は人ひとり中心に輪をもちます だから人ひとりそれぞれ輪をもっています その輪が折り重なって折り重なって そうして人ひとりが成り立っています 落ち葉が折り重なるように 雪が積もって折り重なるように 折...
遥かなる遠景 遠くを 遠くを見るのさ 行き交う人や 店先の値札や 看板よりも もっと先を もっと遠くを 見るのさ
確信犯 車の荷台から転げ落ち よたよたと歩くほかなくなり 表面ではわからなくても 体中には痛みが流れて されど傍目(はため)には悟られぬよう さも涼しい顔をして歩き 一切合財持っていないがため 落ちている瓶やら缶やら この針金は使えないだろうか この空き箱は使えないだろうか 這っ...
駒 捨て駒はゆく 未来はなにも無い ただ討ち取られ 果てるためにゆく 捨て駒はゆく 意味を探りながら ただ討ち取られ 果てるための意味 捨て駒はゆく これは勇気ではない ただ討ち取られ これは勇気ではない 捨て駒はゆく 天を仰ぎ嘶(いなな)き ただ討ち取られ されど討ち取られ
渡る鳥 ふと目を覚ましてみると 何もない道の上でした 標識もない信号もない 街灯も街路樹もない わたしは迷いました どちらへ行くべきかと その時渡り鳥の群れが ゆっくりと空を横切りました わたしは決めました 渡り鳥のゆく道へ行こう 方向さえ決まればもう 人は歩むことができるのです...
国道一号線 ぼくたちは忘れ物 ぽつりと現代(いま)に残された 名のある人もない人も こぞって時代の忘れ物 ぼくたちは誰のものですか 戻る場所はあるのですか 国道一号線をゆく クラクションが遠ざかる 街路樹よきみは いつも震えてばかりだ 始まりがないのなら 始まりをつくればいい そ...
飛べない者の滑走路 飛行場の滑走路 蝶かなにかの幼虫が 真ん中でうねうねと 小さく蠢(うごめ)いている きみはいまどこに いるのかわかるか だだっ広い滑走路の 真ん中にいるのだぞ 進んで何もないからと 戻ってはいけない また元の真ん中に 戻ってどうするのだ ここと思った方へ ひた...
三叉路 三叉路の真ん中に ぽとんと落とされました 好きな方へ行っていいよ そんなことを言われました 三叉路の真ん中で ぽつんと暮れていました 好きな方と言われても どれも似たように見えます 三叉路の真ん中を ぽこんと蹴ってみました 好きな方は決まらないし なにも変わりませんでした...
選択の不自由 拾う落ち葉は選べる 拾うこの手は選べない 好きな相手は選べる 自分の気持ちは選べない 行きたい道は選べる 行ける道は選べない 死にたい場所は選べる 生まれる場所は選べない 迷わなくて済むのなら 選べないのもまた良い
角の取れた消しゴム 丸くなった消しゴム ちょこんとはじく ふらふらころころ 転がってゆく 思ったよりも遠くへ ふらふらころころ 角があったときは そんなことなかったのに 良いのか悪いのか わからないけれども ふらふらころころ 遠くへゆけるから まあちょいとこのまま なされるがまま...
せや 人生なにが起こるかわからん そのわからんことだけが真実や せやからな わからんでええねん それが真実やもの
案内板 道に迷ったよ 案内板はどこだ 人っ子ひとりいない 案内板はどこだ ここまでなんとか 生きてこれたけど こんな淋しい想い まったく初めてだ 千切れ雲もそそくさ 駈けすぎていった どこからかあなたの 声が聞こえたような 幻ってあるんだね 案内板はどこだ
自画像 望遠鏡を逆さにして 世の中を覗いたら 岩の中に閉ざされた ひとりの囚人になった 小さな小さな窓は ずっと向こうにあって 手を伸ばしたところで まるで届きそうもない 出してくれと喚(わめ)いて 岩を叩いてみても 気づいてくれるのは 壁にかかる自画像だけ 小さな窓から見える ...
坂を越えて 住み慣れた町を 離れるというのに 淋しいという気が 湧かないのが淋しい 商店街の賑わい 学生が騒ぐ駅前 よくかよった珈琲屋 夕焼けに染まる坂 こんなにいい町を ぼくは棄ててゆく 先が見えない空 本当は少し怖い 新しい町の風が 馴染んだ頃にやっと 淋しいという気が 湧く...