生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
地球環境と人間生活を考えている人へ
渋谷のカメ わたしは渋谷に住むカメです ここらが野山だった時代から 首を伸ばして見ていました 四角いものがぼこぼこ生え 小さめの四角いものが動き どちらの四角からも出ては消える 色とりどりの哺乳類が増殖し わたしの仲間は住む場所を失い 硬い地面を横切る真...
動物園 ゴリラたちはわかっている もはや檻から出られない 短くも長い一生を 囲いの中で暮らすことを よしんば出られたとしても どうやって生きてゆこう 初めの頃はがなり立ち 鉄をかじってみたものの 錆びた味しかしないから おとなしくすることにした それでも時々夢を見る 息を切...
空き地 空き地がなくなりました 気が滅入ったとき よく空き地に行きました 心が定まらないときも なんだか手持ち無沙汰なときも 頗(すこぶ)る天気が良いときも よく空き地に行きました みんなは知らないでしょうけど 一本だけある枝垂桜の 根っこのところにひっそりと 桔梗の花が咲...
エビカツ エビカツは残された コース料理が多すぎて エビカツは残された 彼は何のために生まれ 彼は何のために捕えられ 彼は何のために熱せられ こうして冷たくなったのか こうして虚(うつ)ろな目になったのか こうして取り残されたのか やがて彼は連れていか...
飛蝶 大地から剥がれ飛ぶ 土色の蝶たち 行かないで 見捨てないで 私たちが悪かった どうかどうかどうか 行かないでおくれ あああ せめてそうやって 樹々を土色にしても どうか留まっておくれ 大地よ
眠れぬ蝉 誰かが騒ぎたてるから つられて俺はないている 誰かが明かりをつけるから ついつい俺はないている 誰かが何にもしないから つくづく俺はないている 誰かが太陽をつくったから つまりは俺がないている
恐竜は生きていた 席をまんまと奪い ジュースをひとくち 黒いサングラスをかけ 店員の言葉を無視 ハンバーガーをたいらげ カバンからパンを取り出し たて続けに二つたいらげ ポテトを次々と食い 次のジュースにストローを差し カバンからパンを取り出し たて続けに三つたいらげ 油ま...
地球は溶けてバターになる バターの成分なんて どうだっていいんだ ホットケーキがなくたって トーストがなくたって どっちだっていいんだ 地球は溶けて バターになるんだ バターの成分なんて どうだっていいんだ なくたってしまえば どうにもならないんだ ...
二次元蛙 ハエは群がる ハエは喜ぶ ハエは踊る ハエは飛び回る カエルは動かない カエルは寝たまま カエルは二次元 カエルはぺしゃんこ 三次元のカエルは ハエを食っていた 二次元のカエルは ハエに食われている
里の天使 里の天使は働き者 上の筒から出る塵や 下の筒から出る雫 ひとつひとつを捕まえて 自らの中に取り込んで 風に吹かれて 海に流れて また元の姿になって 年月を経て戻ってくる 里の天使は里が好き だから大きな街にいない 建物の中が濁っても 電車の中が濁っても 大きな街は...
世の中がおかしくなったと思う人へ 地球環境と人間生活を考えている人へ
絶滅危惧種 守られて 守られて 守られたら 手に負えなくなり 手に負えなくなると 手に負えなくなると 手に負えないからと 守ることをやめ 守ることをやめたら 守ることをやめたら 誰もいなくなって 絶滅危惧種は 実は我々なのだと そこでようやく ...
食器洗い 昔はよう 山からよう 流れてくるよう 水を使ってよう 洗ったもんだがよう 今ではよう ひょいっとよう 水が出てきてよう じゃぶじゃぶとよう 洗えるからよう 楽しくってよう 楽しくってよう だけどよう 山の水をよう 忘れるなんてよう 出来なくてよう 出来なくてよう
潮見坂 どうぞこの石へお掛けなさい ここからが一番海が見える あの辺りが築地ですかね あっちが台場の方向で あっちが船橋へ続いています 今日はよく晴れているから 実に遠くまで見渡せます 見納め日和というものです もう私たちはこの場所から 海を見ることはないでしょう 一体どこまで転...
土を知らない子 土を知らない子は どこへ帰ってゆくのだろう 土を踏んで 土を触って 語りかけることもなく 問いかけることもなく やわらかさも知らず 温もりさえも知らず ただの平面で 硬い平面で 冷たい平面で 平面的な表情で いったいどこへ 帰ってゆけるのだろう
水車の趾 まわって まわって 水の 上を 時の 上を まわって まわって 水が 消えて 時が 消えて まわった まわった 水車も 消えた
スモッグ 掠(かす)れたリンゴが並ぶ 掠れたトマトが並ぶ 掠れたチェリーが並ぶ 掠れたピーマンが並ぶ 掠れた僕が立つ 掠れた声をあげる 掠れた声で笑う 掠れた人が笑う 掠れた空は鳥 掠れた空は風 掠れた空は僕 掠れた空は明日
地面の下からこんにちは 土の中でしばらく 息を止めていたら ある日突然に 硬くて黒い蓋が 覆いかぶさってきた 息をしなければと どうにかこうにかして この蓋を持ち上げ あるいは突き破り ふぅふぅ言っていると 蓋をかぶせた奴らが すごいすごいと言って 目を細めているのだ 俺を見下ろ...
小綺麗な下のつちのこえ びふう ぶふう 全然息が出来ません びふう ぶふう 微かにできるみたいです うん万年も昔から 裸でくらしていたのです 羽虫をはたき落とすように あっさり蓋をされました びふう ぶふう 水に潜ってみてください びふう ぶふう だんだん苦しくなるでしょう? び...
空の煙突 空の煙突が消えた どこを探しても見つからない みんなに愛されていた煙突 みんなのシンボルだった煙突 申し訳ない程度に煙を吐き ただもくもくと立ち働いていた 今はもうどこにも見つからない あったとしても空にはない 新しいという名の怪獣が 空に集まり騒ぎ出すから かきわけて...
それでも雨は洗い流す 赤く油光りしていた 大きなヒキガエルだった 梅雨の雲から押し入る太陽が ぐらぐらと煮え立っていた日 人間様が往き交う足元で この生物はじっと涼を待った 人間様はこの生物を見て 時折暑さを忘れて微笑んだ やがてもっと大きな生物が 地響きを立ててやって来た 人間...