生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
ひとりぼっちだと感じている人へ
ライ麦パン 両の手が汚れている さあ洗ってきなさい これまでにこびりついた 数々の汚れをすべて 洗い落としてきなさい 落ちないものは仕方ない 出来る限りで構わない ライ麦パンを出して 待っているから
びっこ 本当はね どこも痛くないんだ 痛いふり 痛いふり だってこうでもしないと だあれも見てくれない 痛いよ 痛いよ ふふふ 見てる見てる 痛いよ痛いよ 痛いんだよ どうしたのかな ほんのさっきまで みんな見てたのに どうしたのかな だあれも見てくれない
蛤 高速道路を掘り返し ひとつの蛤(はまぐり)を拾い上げる ぷくりと気泡を膨らませ 夢から醒めたように弾けた 潮の匂いがついたまま 懐の中へしまい込み 掘り返した高速道路を 元のように埋め立てる 誰もかれも気づかない 蛤なんてもってのほか せかせかとどこかへ向かい 固い景色の殻で...
孤立無援 雀がなく 欅がさやぐ 猫がはしる 竹がはえる 蛙がなく 薄(すすき)がさやぐ 風がはしる 虹がはえる ぼくは全然 孤立無援じゃない
入ってます こんこん コンコン いつまで そうしているのですか こんこん コンコン わかるよ ひとりぼっちのきもち こんこん コンコン だからさ うちあけてらくになろう 入ってます
うがい薬 がらがらがら がらがらがら がらがらがら ひとりでするうがいは げげえ きたなくはいてもひとり ごくん のみこんでもまたひとり
夜が明けるまで あっちへいけ あっちへいけ 校庭の隅っこに 夕暮れの影ひとつ ブランコは口笛をやめ 影は地中へ隠れる 少年よ少女よ きっと耐えるのだ きみの人生は もっと先にある そのために今は きっと耐えるのだ 夜が明けるまで 夜が明けるまで
クロいシロアリ 甘い甘い飴玉に 群がるクロアリの中で 一匹だけもぞもぞと 朽ちた樹皮をかじっている 誰も見てはいないのに おどおどしてかじっている もしも見つかったならば どんな仕打ちがあるのか 仲間外れになるのか 川へ突き落とされるか そんなことを恐れている 恐れながらかじって...
だんせん とぎれてしまったよ ぶっつりといったよ 信じられないけど 断線しました つうじない つながらない ここはどこ わたしはだれ そのときひとの 声が聞こえたよ それからだんだん つながっていったよ 断線してても つうじているもの 断線したから つながったもの なんだか懐かし...
秋の歳月 わたしが一歩 足を踏み出すと 秋の葉が一枚 はらりと落ちる 乾いた音が 地面を濡らす はらりと 落ちる
背中の眼 カゴの中で 虫が鳴いてる ひぃふぅみぃ ひぃふぅみぃ きっとぼくは ここから出れない けんけんぱ けんけんぱ 背中の眼に ぼくは映る? とぉりゃんせ とぉりゃんせ ふたを開けて 虫は逃げた
ひとりぼっちのバースデー どうしてひとりぼっちで 死ななきゃならないの? 生まれてくるときはみな ひとりぼっちじゃないのに ぼくには城壁がないから 逃げ込む場所がないんだ だから努力をしなくっちゃ 逃げなくてもいい努力を 生まれてくるときはみな ひとりぼっちじゃないから それを知...
纏(まと)うもの 寒いときには たくさん着こむ もっと寒ければ もっと着こむ 寒いときには たくさん着こんでしまう もっと寒ければ もっと着こんでしまう 身も心も 人はそういうもの
セルフタイマー タイマーをセットして すばやくポーズをつくって シャッターが切れるのを待つ 思い返せばいつだって ひとり勝手にポーズをつくって ひとり勝手にシャッターを待つ セルフタイマーなんて 本当は使いたくないって ポーズのままシャッターを待つ
泥の川 誰ひとりの見送りもなく ぼくは遥かな旅へ出る みんなの悲しみを背負(しょ)って ぐいと足を前へと出す 誰も見てはいないけど ちょっと気取ってみたりする さよならさよならさようなら ぼくは泣いたりしないからね そして泥濘(ぬかるみ)に足をとられ 袖までべったり濡れそぼつ ど...
歳末 死ぬときに 周囲の者を 笑わせられるか ただそれだけを 心配してみたい
冷たい夜 ひとりぼっちになっちゃった いつからひとりぼっちなの? ついこの間の気もするし ずいぶん前からの気もする ひとりぼっちはつらいかい? 全然つらいとは思わない だけどとっても淋しいんだ ねえって声をかけてもさ なあにって返ってこないから 平手でなぐられている方が まだまぎ...
傷だらけの妖精 スポットライトを浴びて 傷だらけの妖精は舞う 氷上に刻まれるのは そのまま妖精の傷となる けれどもその顔からは 微笑が消えはしない たくさんの人の幸せを 一身に背負いながら 白い翼がある限り 彼女は舞い続ける 傷だらけの妖精よ あなたは愛されている
鮭 隣同士に生まれ 共に泳ぎ回って やがて身を翻(ひるがえ)して それぞれの海へ行く 彼らはいつかまた 再会するのだろうか あの歓喜のジャンプの どれかひとつだけでも
越冬 冬を越した蚊になって ぼくはふらふら飛び回る 行く宛てなどないことは ずっと昔に知っている 嗄れてしまった声なんて 誰が聞いてくれるやら よろめく姿に人はただ 手で追い払う真似をする ただそれだけのことなのに あぁぼくはうっかり愉悦する 人の毛穴の懐かしき 温もりとやらに愉...