生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
子どもの頃を忘れてしまった人へ
道端 アザミ タンポポ エノコログサ 叱られちゃったときだって ほのほの優しくお出迎え スギナ ナノハナ マツヨイグサ 褒められちゃったときなんか やいやいわいわい大騒ぎ うはぁ オナモミがくっついた
テトラポットと戯れて テトラポットのてっぺんに トンボのようにとまったら 沖から香る潮風と 足下で鳴る泡音が 心の羽をふるわせて 秋空の陽に目を細め パッとてっぺんから離れ 次のてっぺんへと移り 丸みを帯びたその道は 海の上の道とでもあり トンボのように飛びながら テトラポ...
天才 生まれたときから お前は天才だ お前は天才だ なんて言われたら 自分を天才だと 信じるに違いない 天才というものは こうしてつくられる
お手玉 ひい ふう あっ ひい ふう みい あっ ひい ふう みい よう いつ むう ばあちゃん 見とった?
未来とのキャッチボール 未来の大エースは 孤独に壁とキャッチボール 人が通ったって 猫が通ったって 見ている先はそう 広くて大きなキャッチャーミット 少年よ 投げ続けるんだ たとえ大エースならずも たとえ野球じゃなくとも 孤独なキャッチボールは きみを大人にしてくれる 少年よ 投...
渡り鳥の春 きみを急き立てるのは何だ きみを突き動かすのは何だ ぼくがどんなに押さえても 振りほどいて行くのだろう ぼくがどんなにうなだれても 構うことなく行くのだろう ならば見送ってやろうではないか 心置きなく行ってもらおうではないか もう悲しい顔なんてしない もうきみを困らせ...
子どもの頃を忘れてしまった人へ 自分のことを分かってもらえない人へ
丸い日差し 素手でトンネルを掘りました 逃げたかったのでしょうか 隠れたかったのでしょうか 逃げたかったとすれば 何から逃げたかったのでしょう 隠れたかったとすれば 何から隠れたかったのでしょう しかし幼いわたしの手では 砂場の砂山のトンネルを 開けるのが精一杯でした 丸く見える...
掬水(きくすい) 湧き水を 両手のひらで 受け取れば ひんやり冷たい やさしいいのち つつつつと 神経を伝い 幼い記憶へ しみ出ていって じんわり浸す 思い出した わたしはずっと 愛されていた 手の水に口づけ いのちと繋がった
空っぽの宝箱 宝箱を買ったんだ 玉虫色の宝箱 いろんな色に輝いて とってもきれいな箱なんだ 朝の光に昼明かり 夕日のあとのランプの火 一度見とれてしまったら 時間を忘れてしまうんだ だけど中には何にもない ずっとずっと何にもない 空っぽの宝箱 ぼくには宝が何にもない 玉虫色の宝箱...
茜雲が消える刻(とき) ねえ ばっちゃん ばっちゃんはまいのこと きらいだった? くみちゃんとかたけくんとか あそびにきたときも うるさいうるさいっていってたし がっこうでしょうをとったえも もっとうまくかけっていうし いっつもいっつも あとであとであとでって もしかしたらばっち...
いとま お褒めの言葉? それは有難いですがね いまは要りませんや たいしたことはないんで ちょっと"いとま"をね いただきとうございます なんだかわくわくと 胸が躍るじゃないですか いとま 子どもの頃の遠足で 同じような心持ちだったのを なんだか思い出しました...
画用紙 絵を描いて 色を塗って はさみで切って 家を建てて 馬に乗って 船をまたいで 気球に飛びついて 宇宙船に手を振って 地上に落っこちて 山を転がって 転がって転がって 画用紙なんて ただの名前なので 転がるのを止めて 僕は夢を持とうと思う
鍵っ子 塀の上にいる猫に 誇らし気に語っている ぼくはおとなのいちいん ぼくはひとりでできるのさ ぼくがいえをまもっている ぼくはしっかりしなければ だけどなんだかさびしいんだ おとなってさびしいものなのかい まもるってさびしいものなのかい ぼくはしっかりしなければ さびしくても...
河原路 人前で泣くなと 誰かに教わった 遠い幼少の記憶 風景がぼやけるたび 何度も言い聞かせた ひとりきりの河原路 教えてくれたのは 釣り人であったのか 犬連れ人であったのか 日が暮れるたび 赤き河は流れた 今は遠い記憶
三歩下がって 聞いて欲しいこと 話してしまいたいこと 言えない言えない 言いたいけど言えない カチャカチャカチャ 背中の鞄の文房具 小さい歩幅はだんだんと 一歩二歩と下がってゆく 言えない言えない 言いたいけど言えない 先生に嘘ついたこと 友達が叱られたこと どんどん足が重くなる...
スケートリンク 玄関の扉を開ける そこはスケートリンクの上 そろりそろり歩き出す すってんころりでん 青空に星を見る うふふそれはそうだ 滑らなければならない きたきたきた おそるおそる回ってみる くるくるくる きたきたきた 握りこぶしをつくる 観衆はいない うふふそれはそうだ ...
やまみち まわりまわりて まわりみち 寄りてこよりて こよりみち 行きはよいよい むじゃきぐも もどって見上げる はぐれぐも あつめた木の実は なにがなる? 今日あすなどで 芽さえでぬ 一本みちは いまいづこ
フェンス やはりそうだ フェンスをよじ登ると 見たこともない風景 じゃあなかった こちら側と同じ 見たことのある風景 おんなじおんなじ フェンスなんてもの 子どもが遊ぶように 登ってはあっちへ 登ってはこっちへ そうやっていつか いつかのときのため 子どもが遊ぶように フェンスを...
長良川 激しく石を洗い 深々と青を呑み 忘れていたものは この瀬と淵だった 時に危険を顧みず 冒険の石を洗ったか 時に真理を怖がらず 果断の青を呑んだか 忘れてしまったら 取り戻しにゆけばいい 長良川は今も昔も 変わらぬ声で歌っている
くちをとがらせて ぷうぅと息を ぼく自身の中へ 息を吹き込む もわもわとして 咳きこむような ぼく自身の中へ 少年の日の 祭り囃子や すすきの葉擦れや ひばりのさえずり 川に放った石 その時の息を ぷうっと吹き込む ぼく自身の中へ