生きるのはなぜ苦しいのだろう、つらいのだろう。いや、だからこそ喜びを感じ得るのだ。闇があるから光が分かる。この世はあなたが必要だ。感情回復『詩的ぶるぅすメソッド』申込はメッセージフォームから。
世の中がおかしくなったと思う人へ
パンジー パンジーの花を すべて引きちぎった男 人は皆男を非難した しかし私たちは 考えなければならない パンジーがなかったら 誰かが犠牲になり 比べものにならない 悲しみがあっただろう パンジー百本が 誰かの身代りになり ひとときの悲しみをもって また花を咲かせるのだ
中華まん 煮えたぎった具が入っているなど 外見だけでどうしてわかるものか 知らずにかぶりつけばあわれ 口の中の皮はめくれあがる 煮えたぎった具が入っているなど 外見だけでわかるはずもないのだ まずは腹を割らねばなるまい ふっくらとしたその白い腹を!
世の中がおかしくなったと思う人へ 地球環境と人間生活を考えている人へ
絶滅危惧種 守られて 守られて 守られたら 手に負えなくなり 手に負えなくなると 手に負えなくなると 手に負えないからと 守ることをやめ 守ることをやめたら 守ることをやめたら 誰もいなくなって 絶滅危惧種は 実は我々なのだと そこでようやく ...
蝋燭に火 思いもよらない事が 身の上にふりかかる 他人事(ひとごと)のような事が 突然ふりかかってくる とぐろを巻いた炎に 丸ごと呑み込まれ これは夢のはずだと 肌は現実に焼かれる 蝋燭には火 蝋燭はいつだって 倒れないとも 限らない
オモチャのピストル オモチャだと思って 本当さ そうじゃなきゃ 人に向けるなんて 有り得ない 絶対に 有り得ない オモチャだと思って 撃ったんだ でも本気でそう 信じてくれる人は 少ないだろうな 見て見ぬふりを するんだろうな あるいは慰めを ...
溺れる手 早く気づいてくだしゃい その手を離してくだしゃい 息ができまっしぇん 息をさせてくだしゃい 水しぶきが見えましぇんか 口からのあぶくが見えましぇんか 押さえた手が麻痺してましぇんか それともすべてわかっているですか お前さんも化け物になるですか 力を持っているがゆえの化...
逆さ望遠鏡 昔は遠く遠く 遠くを見たくて だから望遠鏡 奪い合うくらい 望遠鏡 今は遠くなんて 近いくらい見えて 狂って逆さに 逆さに望遠鏡 近くなのに 遠くに見える きっとそのうち 正しい使い方も 忘れちゃう 望遠鏡
樹海の芽 侮辱凌辱 暴力差別 諍(いさか)い戦い 討ち合いつらい 己と闘え 心の剣を持て これらと対峙せよ 内面に潜んでいる これらと対峙せよ 己と闘え 己と闘うことなしに 平和は手に入らない 己と闘わないことが その他多勢の萌芽となる
無念は晴れるよいつの日か よかったね みんなに褒めてもらえて よかったね やりたいことがやれて よかったね みんなに楽しんでもらえて よかったね いい汗かくことができて よかったね みんなに愛してもらえて よかったね ほんとうによかった 無念に終わりを迎えたひとは つい最近まで大...
白い鳥 竜巻を真四角にしても 老いた鳩は落ち続ける 白百合を黒く染めても 雪だるまは笑いもしない 地球という箱に手を入れ ぐぢゃぐぢゃかき回すが どろどろした朱肉が指先に びったりくっついてくるだけ 人差し指についたのを びろと舐めってみるものの 無人の家のベランダの 錆た鉄の味...
取り違えた夢と希望 夢だ希望だなどと 叫ぶのは自由だ 家や壁を破壊し 髭の肖像画を燃やし 若き才能の目を潰し 大地や空を切り裂き 夢だ希望だなどと 叫ばないでもらいたい まずは足元を見たまえ コオロギやバッタが跳ね まずは耳をすましたまえ 子や犬らの声が聞こえる 夢や希望というの...
壁に穴をあける者 硬い灰色のベッドで生まれ 粉が浮遊する液体を飲み 車の傍(そば)には行っちゃだめと 見知らぬ人と話しちゃだめと 危ないから危ないからと ガラス張りの部屋に入れられ やがてものごころついた頃に 壁穴を出入りする鼠に憧れ ぼくは鼠になりたいと ぼくは鼠になりたいと ...
腐食 おれの領域に入るな 事の起こりは およそここから始まる 潮風に晒された廃船 腐食という科学反応争いは 一部から全体へと広がる
書斎にて回想録 芋畑をこしらえてさ 肥料をまいたりさ 雑草をとったりさ 芽が出たときなんてさ 生活は苦しいのにさ すっかり嬉しくなってさ 明日の朝が楽しみでさ リムジンが唸りながら 若い新郎新婦を乗せて ぐわりぐわりと過ぎ去った 芋畑に轍を深く残して おれはあの時ほどさ 怒り狂っ...
島とたんぽぽ 島をふっとばして どうすんじゃいの 島をふっとばせば すかっとするんかいの そうしたらただもう 子ども遊びと同じさ たんぽぽをぶちぶち 摘みとるようなもん なくなってしまったら 隣りのくさむらだろさ あとはぉぉよしよし 飽きるまでだろさ そのたんぽぽは 島に生えとる...
無線 聞こえますか どうぞ ー聞こえます どうぞ いま何が見えますか どうぞ ー真っ黒な雲が見えます どんどん大きく膨らんでいます ここも時間の問題かと思います 閃光が走ったのは数分前です その瞬間炸裂音がしました 立て続けに三度ありました ここはだいぶ離れているので...
土の匂い 土の匂いを知っているひとは 心が優しいひとだと僕は思う 土の匂いを知っているひとは 心が逞(たくま)しいひとだと僕は思う 土の匂いを知っているひとは 心が折れないひとだと僕は思う 土の匂いを知っているひとは 心が腐らないひとだと僕は思う 土の匂いを知っているひとは 心が...
五百億年の手紙 五百億年後 ぼくはこの世にいない 五百億年後 人類はもうどこにもいない 五百億年後 地球はどうなっているかしらない 五百億年後 太陽も銀河系も星雲もしかり そんな先のことなど知らぬと みんな今だけを考える 今だけよければいいのだと 鼻歌交じりで好き勝手やる 五百億...
残量 残量を気にしている バッテリーがないのだという しっかりしろ バッテリーなんて無い 残量なんて誰が決めた きみらはまだ育ち盛りだ 表ではトラックの荷台に 子馬が乗せられてゆく 女の子の赤い靴の中に 石膏が注ぎ込まれてゆく バッテリーが危ない もう残量がやばい 彼らの小さな窓...
英智は眠る 街路樹は 灰色の雨と戦っている アメンボは 科学記号と戦っている ニホンザルは ショベルカーと戦っている 綿雲は 曲げられた季節風と戦っている 憎しみを露(つゆ)とも抱(いだ)かずに わたしは情けなさに打ち震える 人間だけが憎しみの戦いをする 英智を与えられた...